新しいAI・仕事のつくり方

Kimi K3.1 Proの3D Make。「少し幅を変えて」を、提案の場で形にする

株式会社本質 · · 約5分

Kimi 3D Make。幅の異なる二つの模型と「幅を変えて、比べる。」の見出しを配した本質のサムネイル

展示台の幅を40センチにするか、50センチにするか。提案の段階では、数値だけで決めきれないことがあります。商品を置いたときの間隔や、隣に立つ人との距離。形を見てから考えたいことが、いくつも残るからです。

Kimi K3.1 Proで気になったのは、このやり取りに3Dを持ち込めることです。完成品のような画像を一枚作るだけでなく、どの条件を変えたら提案が成立するのかを、立体を見ながら話す。その使い方に、営業や企画の仕事を変える余地があると本質は考えています。

3Dを作ったあと、話を続けられる

Moonshot AIが2026年10月24日付で掲載した公式発表では、Kimi K3.1 Proとともに「3D Make」を紹介しています。kimi.comとKimiアプリで3Dモデルを作成し、オンラインでプレビュー・編集できる機能です。3D印刷向けのダウンロードや動画への書き出しも案内されています。

発表は別途、モデルの能力として、テキストやスケッチからの3D作成、BlenderやCADソフト用のスクリプト作成・実行も説明しています。ただし、これらすべてが3D Makeの画面で同じ操作として使える、という意味には取れません。本記事では実機検証をしていないため、特定の寸法を正確に保った編集ができるとは断定せず、提案業務にどう組み込むかを考えます。

見るだけの画像との違いは、立体として確かめたい問いを持てることです。正面からは良さそうでも、横から見れば奥行きが足りないかもしれない。展示物を置くと、背面の説明板が隠れるかもしれない。こうした会話を、文章の修正指示だけで進めなくて済む可能性があります。

幅だけを変えた二案を、同じ角度で見る

展示台を提案するなら、最初から凝った完成案を求めるより、「幅40センチと50センチでは、置き方がどう違って見えるか」を話せる状態にしたいところです。以下は使い方を考えるための仮想例です。

カウンターの使える幅は60センチ。展示する商品は同じ三つで、台の高さと奥行きも固定する。そのうえで、幅の異なる二案を用意できるか試します。色や照明まで変わってしまうと、広さを比べたいのに、見栄えの好みで選ぶ話になりかねません。比較中に動かす条件は、まず幅だけに絞ります。

二案は同じ向き・同じ見せ方で並べます。確認したいのは、「狭い方がすっきり見える」だけではありません。商品の間隔はどうか。隣に決済端末を置く余地はありそうか。後ろに立つスタッフから商品が取りやすそうか。最終的な寸法や使い勝手は別途確かめるとしても、次に何を確かめるべきかは具体的になります。

営業担当者が持ち帰る内容も変わります。「もう少しコンパクトに」という印象だけでなく、「決済端末の場所を確保するため、幅40センチ案を詰めたい」と残せるからです。変更の理由が分かれば、制作側は依頼の意図を聞き直すところから始めずに済みます。

ここでAIに期待するのは、判断に使う候補を用意し直す作業です。何を比べるか、どちらを選ぶか、その理由を言葉にする役割は人が持ちます。形がすぐ出てきても、比較の軸が曖昧なままなら、候補の数だけ会話が長くなることもありそうです。

変えた寸法と、変えなかった条件を残す

この使い方を仕事に入れるなら、3Dモデルだけを保存して終わりにしないことを勧めます。

たとえば「展示台案B」というファイルに、幅40センチ、高さと奥行きは当初案と同じ、商品三つを載せる、右側の決済端末は動かさない、という短いメモを添える。幅を狭くした理由も一行残します。指定どおりの形になったか未確認なら、その点も書いておきます。次の担当者が、見た目から寸法や合意内容を推測する必要を減らすためです。

さらに、決まったことと保留したことを分けます。店長とは置き場所の方向性まで合意したが、材質や製作費はこれから。見た目の案を選んだ段階で、発注できる仕様が決まったように扱うと、後工程で話が戻ってしまいます。製造図面や強度の確認は、その工程を担う人に引き継ぎます。

提案の途中で別の幅を求められた場合にも、このメモが役立ちます。どの条件を残して作り直すかが分かるからです。生成のたびに前提を説明し直す仕事を減らせれば、3D作成は一度だけ見せるデモから、案を詰めていく道具へ近づきます。

次の担当者が、その案から続きを始められるか

導入を試すときは、形が出るまでの速さに加えて、提案が次の人へ渡ったところまで見たいと考えています。制作担当者はどの説明を聞き直したか。比較した二案の違いが伝わったか。まだ決めていないことが、決定事項として受け取られていなかったか。これなら、3Dを作る機能が自社の仕事に役立ったかを確かめられます。

K3.1 Proはオンラインの各製品やAPIで提供されていますが、モデルの重みは11月4日までに公開予定です。自社環境に置けるモデルが既に配布された、と受け取らないようにしたいところです。Enterpriseでは、利用開始時に管理者の有効化が必要と案内されています。

「少し幅を変えて」という一言から、比較できる案と変更の理由が残る。今回の発表を、自社の提案の往復を見直すきっかけにしてみてはどうでしょうか。本質では、こうした業務の流れとAIの組み合わせを、AI実装・業務変革の支援として一緒に整理しています。