海外リーダーの視点

PalantirのShyam Sankarが語る「成果」。FDE育成の評価をどう変えるか

株式会社本質 · · 約3分

FDEを育成する研修では、アプリを完成させたことをどう評価すべきでしょうか。考える材料になるのが、寄稿時にPalantirのCTOとして紹介されたShyam Sankar氏の「The Primacy of Winning」です。この記事では、本人の主張の一部を紹介し、日本企業の育成現場で使える評価方法を考えます。

原文の要点と短い引用訳

Sankar氏が重視するのは、使命の達成と成果です。開発組織には、現実の問題を解く視点と、質の高い製品を作る視点の両方が必要だと論じています。

「適切なものを作ることと、ものを適切に作ること」

これは原文の小見出しの当社訳です。本人はFDEを、顧客のそばで実際の問題を解決するための役割として位置づけています。原文には働き方や組織運営への強い持論もあり、以下はその一部から得た当社独自の提案です。

出典のPirate Wires記事本ページは2024年4月8日、本文確認に使用した同媒体の全文掲載ページは4月9日と表示されています。

本質の見解:評価を「業務の変化」と「運用の条件」に分ける

FDE育成では、完成物を見る評価に、二つの問いを追加したいと考えます。「利用者の仕事はどう変わるか」と「その変化を続けられるか」です。

例えば、営業担当向けに商談メモから報告書の下書きを作る仕組みを考えます。これは説明用の仮想例です。文章が自然でも、必須項目を確認する手間が増えれば、業務全体では改善していないかもしれません。評価では生成結果だけでなく、担当者が確認・修正して提出するまでを追います。

一つ目の評価には、対象者、対象作業、従来の手順、試作後の手順を記録します。時間を測る場合は、何を開始と終了にするかも決めます。受講者が「便利になりました」と説明するだけで終わらないよう、確認できた事実と、まだ確かめていない仮説を区別します。

二つ目の評価では、誤った下書きが出た場合の確認方法、利用できる情報の範囲、困ったときの連絡先を整理します。試作段階なら、すべてを実装する必要はありません。ただし、業務で継続利用するまでに何が不足しているかを説明できることは必要です。

育成担当者は、判断できる範囲を用意する

成果に責任を持つ経験を与えるには、受講者に選択の余地が必要です。題材、機能、画面、実装方法をすべて指定した演習だけでは、課題を選ぶ力を観察しにくくなります。

一方、顧客対応を丸ごと任せると、経験の浅い人には判断材料が足りません。最初は対象業務を一つに絞り、業務担当者へ質問する機会と、設計を相談できる担当者を置きます。その範囲で、作る機能や検証方法を本人に提案してもらいます。

研修の振り返りも、作業量や発表のうまさに偏らせず、「得られた証拠から次の行動を選べたか」を見ます。試して効果が出なかった場合でも、理由を確かめて対象を絞り直せたなら、評価できる学びがあります。

SES・SIerの経営者にとって、この評価設計は顧客への提案にもつながります。自社の人材がどの課題を見つけ、何を確かめ、運用までに何を整えられるか。研修の成果物をその言葉で説明できる状態を目指したいところです。