海外FDE動向

AnthropicとDXCの提携から考える、既存エンジニアをFDEへ育てる道筋

株式会社本質 · · 約3分

FDE(Forward Deployed Engineer)を増やすには、どんな人を育成対象にするべきでしょうか。SES・SIerにとって、現在の顧客業務を知るエンジニアの経験は、AI実装を考える出発点になります。

公式発表の要点

Anthropicは2026年6月11日、DXC Technologyとの複数年のグローバル提携を発表しました。DXCは既存の開発チームから人材を選び、Anthropic Academyと顧客の基幹システムに関する独自の教育を組み合わせるとしています。数万人規模のClaude認定FDEを育成する計画です。

発表では、DXCが顧客展開に先立って自社の業務でClaudeを活用してきた点も説明されています。育成人数は将来の計画であり、育成完了数ではありません。詳しくはAnthropicの原文をご覧ください。

本質の見解

私たちは、この発表を「既存の現場経験を、AIで業務を改善する力へ変える」という観点で読みます。DXCと同じ規模の組織がなくても、育成の順番を考える参考になります。以下は、本質が提案する進め方です。

育成候補者は、業務の例外を説明できる人から探す

候補者を選ぶ際は、AIツールの操作速度に加えて、担当業務で何が難しいかを言葉にできるかを見ます。例えば保守業務なら、手順書どおりに進まない障害、熟練者へ確認する場面、誤判断で影響が広がる操作を説明できる人です。

その知識があると、AIに任せる範囲と、人が判断する範囲を具体的に考えられます。最初の面談では「毎週繰り返す作業を一つ」「その作業で困る例外を一つ」挙げてもらうと、実践課題を選びやすくなります。ただし、現場経験だけで設計や実装までできるとは限りません。技術面の学習とレビューを組み合わせます。

共通の学習後に、一つの業務を最後まで扱う

AIの基本操作、情報の扱い方、出力の確認方法を学んだら、各自の業務から小さな課題を選びます。例えば、障害報告書の下書き作成です。事象を読み取り、決められた形式へ整理するところから始めます。

最初の目標は、作成時間と修正内容を記録できる状態にすることです。原因が確定していないのに断定していないか、必要な時刻や影響範囲を落としていないかを確認します。研修の成果物として、試作品に加え、評価に使った例と不合格の理由を提出してもらいます。

顧客データを使う場合は、その案件で利用できる環境と情報の範囲を確認します。準備が整うまでは、架空の事象や利用許可のある情報でも評価の手順を練習できます。

人材評価は、任せられる役割で分ける

研修を終えた全員に、すぐ顧客の課題設定から運用まで任せるのは無理があります。まずはAIを使って自分の作業を改善できるか。次に、設計に沿って実装と評価ができるか。その先に、顧客と課題や合格条件を決められるか、という段階を置きます。

育成責任者は修了者数に加え、「どの役割を任せられるか」「次に何を経験すべきか」を記録します。顧客との対話が得意な人と、実装に強い人が組んで案件を進める形でも構いません。実践の中で担当範囲を広げるほうが、本人も次の目標をつかみやすくなります。

株式会社本質は、AIの利用開始から実装、FDE育成へと段階を分けたプログラムを提供しています。自社の候補者と実践課題を整理したい方は、本質のホームページをご覧ください。